人工妊娠中絶手術後の不妊症になるリスク

不妊症

妊娠を望む方がいる一方で、やむを得ず中絶という手段をとらなければいけない方も多いです。

中絶手術を受けるにあたって気になることに「不妊」があげられると思います。

「中絶手術を受けると次の子は授かれないのか」「不妊症のリスクは上がるのか」など不安に思う点もあるでしょう。

ここでは、中絶手術と不妊症に関して解説します。

不妊症以外の中絶手術の合併症についても紹介しますので、中絶への理解をぜひ深めてください。

不妊症について

まずは不妊症について簡単にご説明します。

不妊症は、妊娠を望む健康な男女が避妊なしで性交をしているのにもかかわらず、一定期間妊娠しない状態です。

一定期間とは一般的に「1年」と定義されています。

女性の身体の変化として、生理周期の不規則や量・腹痛、膣分泌物の変化、性感染症の発症、極端な肥満や痩身といった症状が見られる場合があります。

子宮内膜症や骨盤腹膜炎などにかかったことがあると、妊娠しにくくなることが分かっています。

主な治療法として、基礎体温や超音波(エコー)検査から排卵日を推測するタイミング法を始めることが多いです。

排卵障害の場合だと、薬によるホルモン治療が行われることもあります。

人工妊娠中絶手術後の不妊症

中絶手術を受ける際に、手術の影響で次の子を授かるのが難しくならないかは心配なポイントでしょう。

人工妊娠中絶によって不妊症になってしまうのかどうか解説します。

一般的には中絶手術で不妊症にはならない

結論をお伝えすると、中絶手術を受けることによって不妊症になることはほとんどありません。

専門医のもと適切に手術を行えば、まず不妊症になることはありませんので安心していただければと思います。

ではなぜ「中絶手術すると不妊症になる」という話が出てくるのかというと、手術による合併症によって不妊症になる可能性があるからです。

合併症によって不妊症になる可能性がある

中絶手術を行った際に感染症などで子宮内膜に癒着が起きたり、子宮内膜が薄くなったりすることで合併症を引き起こし、不妊症になるリスクがあります。

これら以外の原因から不妊症になる場合もあり、原因を特定するのは極めて困難です。

このように、術後の合併症によって一定数の方は不妊症になってしまう可能性があります。

しかし、現代の中絶手術法には「吸引法」という方法が普及がされ、不妊症になるリスクは下がってきました。

そのため、不妊症になる可能性は極めて低いと言えます。

中絶手術の回数によってリスクが上がることもない

中絶手術の回数が2回、3回と増えると、不妊症のリスクが上がるのではないかと思う方も多いです。

不妊症の発症は、手術の回数が多い少ないに関わらず極めて低いです。

中絶手術後の合併症によって引き起こされるため、1回であろうと5回であろうとリスクとしては同じになります。

中絶手術による不妊症を防ぐ対策

中絶手術によって合併症を引き起こし、不妊症になる可能性があることをお話しました。

このような不妊症を予防するために、中絶手術を行う場合は過度な掻爬術を行わないことが重要です。

中絶手術には、医療器具を用いて子宮内容物を掻き出す「掻爬法」と吸引器を用いて子宮内容物を吸い取る「吸引法」があります。

掻爬法の場合、過度な掻爬術によって不妊症に発展するリスクがあるというわけです。

池袋クリニックでは、手術方法に吸引法を採用しているため、掻爬術によるリスクは極めて低いと言えます。

また、子宮内膜の炎症から子宮内腔癒着症を発症させないことや、器具や手術室の清潔を保つことなど、合併症を引き起こさないよう注意を払うことが大切です。

人工妊娠中絶と合併症

中絶手術によって合併症が引き起こされる可能性があります。

不妊症はこの合併症から発展して生じることが多いです。

合併症の症状や種類には様々ありますが、ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。

不正出血

中絶手術後は一般的に、出血が1週間〜2週間にわたってありますが徐々に治まっていきます。

しかし、2週間以上にわたって出血が続く場合や、出血量が極端に多い、痛みが強い場合などは不正出血の疑いがあります。

手術を行った医療機関に連絡し、状態を確認してもらうことがおすすめです。

感染症

中絶手術が適切に行われていれば、感染症にかかることはほとんどありません。

ただし、中絶手術によって子宮頸管が拡張されている状態は、通常よりも感染症にかかりやすくなっています。

中絶手術前には感染症検査を行い、感染症にかかっていることが発覚した場合は感染症を治療することから始めます。

繊毛遺残

繊毛遺残は、中絶手術で取り除くべき組織を一部取り残してしまう合併症です。

大量出血や感染症を起こす危険性があるため十分な注意が必要とされています。

手術後の遺残を防ぐために、手術前後で超音波検査を入念に行います。

まとめ

中絶手術をしたからといって不妊症になるわけではありません。

しかし、合併症によって不妊症になる可能性はあります。

合併症や不妊症を引き起こさないためにも、中絶手術は十分に注意を払って行われます。

もし中絶手術後に身体の異変や心配事があれば、状態を悪化させないためにも早急な対応が必要です。

気になることがあれば気軽に医療機関へ相談してみてください。

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